子育てのとき

山の中の幼稚園 ~スリランカ マジック (2)~

園長 鈴木 祐子

大人が数人並んだら道幅いっぱいになってしまう山道です。これ以上は進めないというバスから降りて、私たちは歩きました。明るく心地よいリズムが聞こえ、大勢の人たちの歓迎の行列が見えてきました。行列の先頭に立っているのは、ポロンナルワ幼稚園の子どもたち。えんじ色のワンピースの制服についた白い大きな衿が、かわいらしさを一層引き立てています。褐色の小さな顔に、大きい黒曜石のような瞳が輝き、手にはそれぞれ花のレイを持っています。強い日が照りつける中、長い時間立って待っていてくれたに違いないと思うと、私は胸がいっぱいになりました。レイをかけてもらい、恥ずかしそうに差し出すハスの花を受け取ると、私は一人の園児と手をつないで幼稚園に入りました。

気候・風習による景観の違いはあっても、1階に赤ちゃんたちのお部屋、2階に大きい園児たちの部屋があり、階段に安全柵が付けられていたりして、基本的な考え方は全く同じです。壁に飾られている園児たちの絵は、熱帯の植物の色彩を思わせる美しさです。それぞれの子どもたちの名前が入った袋がかけられ、中には作品をていねいにファイルしたスケッチブックが入っています。それを見せてもらったりしながら、私はいつの間にか、サリーを着た2人の若い先生方と話しこんでいました。

子どもの教育に関する姿勢は、万国共通であり、何よりも「この国は子どもを本当に大事にしている」と実感しました。

タミール人との内戦で国は荒廃し、何年もこうした施設はできなかったそうです。貧しい村にやっと建った幼稚園を、村中の人々が喜びと共に大切にしているのです。「地域子育て支援計画」「次世代育成計画」などという言葉を使わなくても、大人がみんなで子どもたちを育てていくというごく自然な営みがそこにはありました・・・。

(追記) このコラムは、2004年8月の旅の思い出をもとに書き始めていたものです。スリランカの旅で学んだことを、たくさんお話ししようと思っていたのですが、その年の暮れにスマトラ沖地震が起き、スリランカは甚大な被害を被りました。多くの人々が亡くなり、住民の方々が想像もできない苦難を強いられたことが、世界中に報道されました。被災の映像に心を痛め、しばらくは、楽しい思い出を書く事ができませんでした。

2009年を迎え、この輝く島を訪れた人の写真から、子供達の笑顔を再び見る事ができました。光あふれる日々が、戻っている事を祈りつつ、いつの世も、子供達の笑顔が全てを救うのだという事を改めて、確信しています。

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